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茜色の空に
第8章 雪の華
それから、年末の怒濤の忙しさを俺はなんとかクリアした。

気がついたら、1月24日で祝えなかった倫子の誕生日だった。

俺は、町にある川の土手に来ていた。

今日だけはどうしても一人でいたくて、玲奈に用事があると言ってこの土手に来ていた。

『海渡の誕生日は2月13日だから、私たち一ヶ月も変わらないで生まれたんですね!』

そう、嬉しそうに笑う彼女の姿が目に浮かぶ。

土手の草むらに腰をおろし、沈みゆく茜色の空を見上げていた。

思えばあいつと過ごしたの、人生の中のたった4ヶ月なんだよなぁ・・・

そう想いながら、コーヒーを一口飲む。

今までの人生の中で、一番色々あった時期なのかもしれない。

倫子との桜の中の出会い、公園でいきなり襲いかけた事、襲いかけて告白したこと、初めて好きって言われて嬉しかった事・・・

思い出すと、情けないけど瞳から久々に涙が溢れてきた。

よく、夕陽の中の土手二人で歩いたよな・・・

ずっと一緒にいるって言ったのに、約束守れなくてごめん。

『海渡・・・』

そう彼女が呼ぶ声が、夕陽に煌めく川面に溶けていく。

ずっと好きだ・・・ただ、いつかお前を思い出にしてしまう俺を許して欲しい・・・
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