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茜色の空に
第9章 静寂の海
「まだ、社会人になったばかりで結婚とかは考えられませんよ流石に。」

私は苦笑いしながら答える。

樹さんとつきあい始めたのは、あの告白から一週間くらいたった時だった。

心の中に好きな人がいてもいいですか?

そう聞いて彼がOKし、私たちはつきあい始めてもう5年になる。

樹さんは優しくて、いつも私の事を優しく見守ってくれる。

私が彼に抱いている感情が、恋なのか兄に対するようなものなのか未だに5年たった今も解らない。

ただ、5年しても私たちには身体の関係がない。

「倫子が俺を好きって言うまで、俺そういう事はしたくないんだ」

彼はそう言ってくれる。

逆に、そう言わせて彼に5年間も無駄にさせているのではないかと、私は日々罪悪感に駆られるのだ。

この日、私たちはほどほどにお酒を飲んで解散し、私はお酒が弱いせいかひどく酔ってしまった。
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