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茜色の空に
第9章 静寂の海
「バスタオルつけるの禁止!」

バスルームから出てきた樹さんは私を見るなりバスタオルをはぎ、私をベットに押し倒した。

「あ、明かり消して欲しいです・・・」

私が身体を隠しながら言うと、樹さんがクスクスと笑いながら言う。

「さっき、明るいところでお互いたくさんみたのにダメ?」

意地悪に笑う樹さんに私は少し拗ねながら言う。

「それでもやっぱり恥ずかしいからダメです!」

そう言うと樹さんはしぶしぶと、部屋のドアのそばにある照明を消した。

窓から月明かりが差し込み、樹さんの綺麗な身体を照らすと明るい時より魅惑的に見える。

「満月だから、明かり消した意味ないね。逆にすっごくエロい・・・」

そう言って樹さんは、ゆっくりと裸の私を抱きしめ、私の唇に優しく重ねる。

チュッと音をたてて最初は優しく触れるだけのキスをし、しばらく私の瞳をみつめながら言った。

「倫子、好きだ・・・」

その言葉に、思わず胸が締め付けられるように苦しくなる。

きっと、あの人を想う気持ちと彼を想う気持ちは別なのかもしれない。

でも、私の身体は確かに本能で彼を求めているのは事実だった。

私は彼の瞳を見つめて、彼に伝わるように言葉を紡ぐ。

「樹さんが・・・好きです・・・」

彼が私に覆い被さり、ぎゅっと強い力で抱きしめて言う。

「あー・・・、俺今死ぬほど幸せ・・・」
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