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茜色の空に
第9章 静寂の海
激しく動き続ける彼の動きに、私は翻弄されて段々と未知の感覚に支配されていく。

「やっ・・・あっ・・・なんか怖いっ・・・やぁっ・・・」

快感と怖さに、思わず樹さんの背中に爪を立て力を込めてしまう。

「くっ・・・大丈夫だからっ・・・あっ・・・」

私に腰を打ち付けながら、樹さんも快感で喘ぐとその声で更に私のナカの何かが押し上げられていく。

「あぁ・・・なんか・・・なんかもうっ・・・あぁっ・・・」

声をあげると、何かが私の頭の中で弾けて全身に激しい快感が駆け抜ける。

「やばっ・・・もう俺も・・・イくっ・・・あぁっ・・・」

樹さんの動きが止まり、私のナカが樹さん自身を強く締め付けた。

彼自身から熱い欲望が吐き出されるのを、締め付けながら感じてまた奥が甘く疼いた。

彼が私の上に覆い被さり、耳元に荒い息づかいが聞こえる・・・

月あかりが射す天井を見上げながら、私の目尻から涙がひとしずく流れた。

それが生理的なものなのかそれとも後悔なのか、私自身でも解らない。

「ちょっと夢中になった・・・ごめん・・・身体辛くない?」

樹さんが私の上から降りて横に寝そべり、布団をかけて私を抱き寄せてくれた。

「大丈夫です・・・その・・・すごく・・・」

そう言って私は、彼の胸に顔を埋めた。

樹さんの安心する匂いに包まれて、私はゆっくり目を閉じる。

そして心のどこかで、忘れたくないあの人の香りを忘れそうになる自分が怖くて仕方なかった。
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