この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
茜色の空に
第9章 静寂の海
しばらく他愛のない会話をし、相変わらず圭子は田辺くんといい感じに付き合っているらしい。
彼は次のタイトルにむけて試合をしたり、たまに怪我をして心配にはなるけれど、世界チャンピオンにむけて順調に努力しているそうだ。
「田辺くんはすごいんですね。
なんかそんな人が彼氏とか、少し圭子が遠い人に思えてしまいます。」
私がそう言うと、圭子が少し気まずそうに聞いてきた。
『倫子は・・・そろそろ彼氏できた・・・?』
私の心臓が、ズキンと嫌な音をたてて胸が締め付けられる。
「圭子・・・私、やっぱり待てませんでした。
ずっと傍で待ってくれた人に、心が傾いてしまいました・・・
あの人を待てなかった・・・」
瞳から、涙がこぼれ落ちる。
待てなかった罪悪感。
そして、樹さんの優しさと温もりが心地よくて、全てをゆだねてしまった。
圭子は優しい言葉で言ってくれた。
『倫子・・・そうやって私たちは傷ついた事も楽しかったことも思い出に変えていく。
水瀬くんも、それを望んでると思うな・・・
だって、この前会ったとき・・・あっ・・・』
そう言って圭子は急に言葉に詰まった。
涙が急に引っ込み、私は圭子に問いかける。
「海渡に会ったのですか?
圭子!」
私の言葉に圭子が、言葉を選びながらゆっくり語りかける。
彼は次のタイトルにむけて試合をしたり、たまに怪我をして心配にはなるけれど、世界チャンピオンにむけて順調に努力しているそうだ。
「田辺くんはすごいんですね。
なんかそんな人が彼氏とか、少し圭子が遠い人に思えてしまいます。」
私がそう言うと、圭子が少し気まずそうに聞いてきた。
『倫子は・・・そろそろ彼氏できた・・・?』
私の心臓が、ズキンと嫌な音をたてて胸が締め付けられる。
「圭子・・・私、やっぱり待てませんでした。
ずっと傍で待ってくれた人に、心が傾いてしまいました・・・
あの人を待てなかった・・・」
瞳から、涙がこぼれ落ちる。
待てなかった罪悪感。
そして、樹さんの優しさと温もりが心地よくて、全てをゆだねてしまった。
圭子は優しい言葉で言ってくれた。
『倫子・・・そうやって私たちは傷ついた事も楽しかったことも思い出に変えていく。
水瀬くんも、それを望んでると思うな・・・
だって、この前会ったとき・・・あっ・・・』
そう言って圭子は急に言葉に詰まった。
涙が急に引っ込み、私は圭子に問いかける。
「海渡に会ったのですか?
圭子!」
私の言葉に圭子が、言葉を選びながらゆっくり語りかける。