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茜色の空に
第10章 失われた時を求めて
そして今日も、俺は寂しさを埋める為に町で女を漁る。

仕事を夜の10時にあがり、ふらっと適当に酒が飲めるBARに立ち寄った。

母親譲りなのか見たこともない父親譲りなのか、俺は自分が思った以上に酒が強かった。

バーボンをロックで飲み干し、適当にマスターと会話する。

あれほど人間嫌いで会話嫌いだった俺が、丁寧な言葉遣いで丁寧な接客ができるくらいに成長した。

ただ偽りの仮面をかぶっているに過ぎない・・・やはり本当の俺は16歳のあの頃ときっと何も変わっていないのだ。

「なぁマスター。
人間ってどうやったら変わる事ができると思う?」

俺はたまに来るこの店のマスターに、グラスを傾けながら問いかける。

人がよさそうで落ち着いたこの店のマスターは、少し首を傾げながらこう言った。

「そうですね。
人を変えられるのは、よほどショッキングな出来事か自分を思ってくれる大切な誰かの二択しか私はないと思うんですよ。
とても曖昧な答えですけどね。」

ショッキングな出来事か大切な人か・・・俺には平坦な日常にはその両方が見込めない。

まだ俺は16のあの頃のままもがいている状態なんだろうな。

グラスの中身を煽りながら、俺はそう思った。
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