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茜色の空に
第10章 失われた時を求めて
「あ、そうそう。
受付頼んでいいかな?
なかなか見つかんないし同級生は俺の仕事関係の事知らないしぃ~」

片桐の頼みはいつも突然だ。

まぁ確かに仕事で受付には慣れているけれども…

特に断る理由もないので引き受ける事にした。

「まぁ、新婦側の受付ふたりと計四人でやるからさぁ~
案外いい出会いがあるかもよぉ~?」

片桐がニヤニヤしながらからかってきた。

「おまえの近場とかに下手に手ぇ出すかよ。
毎日からかわれるとか地獄だわ……」

そう言って笑って誤魔化す。

誰かと出会うなんて全く期待していない。

むしろ、寄ってくる女は気持ち悪いか適当に遊ぶ存在くらいにしか思っていない。

あー、つくづく自分がクズだと思い知らされる。

仕事と、俺を家族同様に考えてくれている数人さえいればいい。

この10年間そうやって生きてきたんだからと、自分自身に言い聞かせた。

このときは考えもしなかったんだ。

奴の結婚式で、俺の人生を覆すくらいの出来事が待ち受けているなんて。
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