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茜色の空に
第10章 失われた時を求めて
「もう百合きいてよー!
こいつこんっなにイケメンなのに、もう10年以上彼女いないんだってよー!
まぁつまみ食いとかはいっぱいしてるらしいんだけどねぇ~」

まぁ酔っぱらった片桐は、俺のことをペラペラと彼女に喋りやがる。

全部事実なだけに否定もできず、俺は不機嫌そうに酒を飲むしかなかった。

「そうだなぁ~、あたしの友達も独身の子は多いけどぉ~
水瀬さんはどんなタイプが好きなのぉ?
やっぱお色気系の大人っぽいふじこちゃんタイプとかぁ?」

片桐のノリについてくあたりが、二人がお似合いって感じがするけどな。

彼女の質問に何故か俺が答えず、かわりに片桐が答えていた。

「ちがうんだよ百合ぃ!
こんな見た目してこいつ、清純な黒髪のおとなしそうな子がタイプなんだってさぁ~
水瀬がヤンキーっぽいから委員長タイプの子とか?」

無邪気に笑いながら片桐は言うが、こいつエスパーかよって思うくらい俺の事を言い当てて怖い。

「なんでそんなん解るんだよ?」

俺がそう言うと、片桐が爆笑して言った。

「だってさぁ~、水瀬いつも美容室の黒髪ストレートの子を見るとすっげぇ愛しそうに後ろ姿みつめんの。
あれはそうだね、元カノの姿重ねてるねっ!
めっちゃ26の今でも、お前青春してるよなぁ・・・」

流石にその言い方はちょっと無神経すぎて、俺は少し苛ついた。
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