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茜色の空に
第10章 失われた時を求めて
「水瀬さんごめんねっ!
晃太ってあるリミット越えると、ホント酒癖悪くって・・・ほらぁ、晃太、その酒癖の悪さで何人に喧嘩売ったとおもってんの!」

百合は酔いすぎて暴走する片桐に、見事にデコピンを食らわせて眠らせる。

「もぉ、まぁタクシーで一緒の家に帰るからいいけど。
普段は穏やかなのに、鬱憤がたまるのかなぁ~?
こういうとこは超めんどくさいもーん。」

そう言って百合は、酔っぱらって寝てしまった片桐の頭を撫でる。

「本当にお似合いだよなぁ、見ててうらやましいと思ってる。」

俺がそう言うと、少し照れながら笑う百合は本当に幸せそうで、あんなに最初はギャルだと思って敬遠してたのに、その笑顔はとても可愛かった。

「一人ねぇ、結婚式にも来る女の子で水瀬さんのタイプっぽい子はいるんだけどさぁ。
その子はちょっと難しくてねぇ・・・あんまりおすすめできないなぁ・・・ごめんね。」

そう言って、百合が笑う。

少し興味があって、俺は聞いてみた。

「難しいってなんで?いや、別に狙ってるわけじゃないけどちょっと気になってさ。」

百合は困ったなぁ、といいながら話してくれた。

「すっごくお嬢様な感じで清楚で、そして性格も優しくて育ちもよくて。
申し分ないのに、彼氏ができない上にちょっと頑張って付き合ってみても続かないみたい。
ずっと彼女の事を好きで傍にいてくれた彼氏とくっついたと思ったら、やっぱり一緒にいる資格がないとかですぐに別れちゃったんだよねぇ~
その彼氏は相変わらず、辛いときは利用していいからって傍にいたいって言ったみたいなんだけどねぇ・・・」

あんな浮気もしないイケメン捨てるとか勿体ないって思ったのになぁ~と彼女はいいながら、目の前のグラスをあけていた。

ここには酒豪しかいない気がする。
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