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茜色の空に
第10章 失われた時を求めて
あいつらの結婚式が終わったら、俺は前を向いて歩き出そうと思った。

もう自分に嘘ばっかりつかないで。

たとえ倫子に恋人がいようとも、もう遅くて結婚して母親になっていたとしても、俺はやっぱりもう一度倫子に会いたい。

彼女が幸せになっていたら、あの時はごめんと謝りたい。

彼女が辛くて泣いていたとしたら、この手をさしのべて救って共に生きていきたい。

ずっと一緒にいるっていった約束を、俺は一日も忘れた事はなかった。

10年前の俺は、倫子に好かれようと必死でがんばって近づいて、そして倫子と付き合う事がえできたじゃねぇか。

その気持ちを大人になるって言い訳で誤魔化して、ずっと彼女に迷惑をかけたくないって言い訳で俺は逃げてきただけだ。

結婚式が終わったら俺は一度地元に帰る。

むこうに行ったら、永吉を通じて鈴木に連絡とってもらって、俺は倫子を探し出そうと思う。

それと連れ去られてしまった、弟の月光の行方も必ず見つけてやる。

今まで失った時間を、全て取り戻すのは不可能だけれど、大人になった今ならでも出来る事があるはずだ。

もう今は前だけ見ていよう。

倫子と月光を必ず探し出す事を決意し、俺は深い眠りの底に落ちていった。


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