この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
茜色の空に
第10章 失われた時を求めて
なんだかんだ、コーヒーを飲んでるうちに一時間が過ぎて、約束の時間の少し前になる。
俺はクロークに適当な荷物を預け、会場に向かった。
式の前に受付を済ますということで、早い時間に集合だから、美容院でセットしてから来る女共は大変だとは思う。
俺より早く、受付で待ってる百合の友人だろうか……ピンク色のふわっとした素材のワンピースにシルバーのミュールを履き、長い綺麗な黒髪をアップにしている。
後ろ姿だけど、動揺した。
あんなに追い求めた、彼女に見えたから。
「すいません、俺受付頼まれたんですがここでいいんですかね?」
俺が話しかけると、彼女が驚いたように振り返った。
人生で奇跡とか偶然って、ドラマや小説のなかの出来事にしか思っていないし、信じてもいなかった。
人間、予想してもない出来事が起きると固まるのな。
心臓の鼓動はやたら煩くて耳障りだし、何よりも立ってるのもやっと、口のなかもカラカラ。
俺の前に、10年の間会いたくて夢にまで見て、抱き締めたくて仕方なかった彼女がいる。
その彼女が、ただ静かに瞳から涙を流しながら俺を静かに見つめていた。
俺は、やっとの想いで彼女の名前を呼ぶ。
「倫子……?」
俺はクロークに適当な荷物を預け、会場に向かった。
式の前に受付を済ますということで、早い時間に集合だから、美容院でセットしてから来る女共は大変だとは思う。
俺より早く、受付で待ってる百合の友人だろうか……ピンク色のふわっとした素材のワンピースにシルバーのミュールを履き、長い綺麗な黒髪をアップにしている。
後ろ姿だけど、動揺した。
あんなに追い求めた、彼女に見えたから。
「すいません、俺受付頼まれたんですがここでいいんですかね?」
俺が話しかけると、彼女が驚いたように振り返った。
人生で奇跡とか偶然って、ドラマや小説のなかの出来事にしか思っていないし、信じてもいなかった。
人間、予想してもない出来事が起きると固まるのな。
心臓の鼓動はやたら煩くて耳障りだし、何よりも立ってるのもやっと、口のなかもカラカラ。
俺の前に、10年の間会いたくて夢にまで見て、抱き締めたくて仕方なかった彼女がいる。
その彼女が、ただ静かに瞳から涙を流しながら俺を静かに見つめていた。
俺は、やっとの想いで彼女の名前を呼ぶ。
「倫子……?」