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茜色の空に
第11章 優しい雨
百合は出会った頃から、そのギャルの見た目とは正反対で優しくて誰よりもひとの気持ちに敏感。

そんな百合が誰よりも私の事を心配してくれていた。

「はい……百合と片桐さんのおかげです。
途中で帰ってしまい、申し訳ありません。」

そう言うと、片桐さんは酔っているのかへらへらと笑いながら言った。

「水瀬はすっごく不器用だけど優しいから、倫子ちゃんは大事にしてくれるとおもうよぉ~
水瀬は俺に一生頭あがんないねぇ~
いやぁ、あんなに女癖が……ぐふっ……」

そう言いかけたときに、片桐さんは百合に強烈なお腹にパンチを浴びせられていた。

「じゃあわりぃな、片桐。
倫子をもらっていくわ。」

海渡は笑顔で言って、わたしの手をとって歩き出す。

大きい、でもあの頃とはまた違う、力強くて少し乾燥してて、働いてる男のひとの手。

それだけで、わたしの心臓はドキドキしてしまい、海渡に聞こえてしまいそうなほどに煩い。

「本当はいますぐにでもお前をここのホテルの部屋に連れ込みたいけど、ここ都心から離れてるし軽く話もしたいから、俺んちの近くでもいい?」

海渡がわたしに歩幅をあわせてくれ、ゆっくりと駅まで手を繋いで歩く。

本当に今でも夢を見ているんじゃないだろうか、海渡を見上げると海渡は私を見て優しく微笑んだ。

「夢を見てるんじゃないかって、柄にもなく不安になるけど、夢じゃないんだな……」
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