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茜色の空に
第11章 優しい雨
「税理士か・・・昔から倫子は頭よかったし勉強できたけど、あれってめちゃくちゃ難しい資格なんだろ?
がんばって勉強したんだろうな・・・」

海渡はとても驚いていた。

「海渡は、なんで美容師になったんですか?」

私が聞くと、海渡が少しばかり遠くを見つめて言う。

「俺があの16歳の秋、あの町を出てたどり着いたのがあの大きな川のそばのあの町だったんだ。
なんとなく、生まれ育ったあの町に似てたからな。
そこで、俺はカットモデルにある人にスカウトされて・・・その人にいろんな事情を話したら、面倒みてやるから美容師になる勉強をしろって言われた。
そっから必死に働いたし、勉強してなんとか一人前になった。
そしてその人から、東京の美容室で働いてこいって追い出された。
その職場が、片桐と同じ職場ってわけ。
そう考えると、やっぱり色んな意味であの人には感謝だな。」

そう言って、海渡が微笑む。

きっと、私が想像する以上に彼は努力したんだろうなと思った。

もともとなんだかんだ言って、可愛がられる性格だろうからきっと誰か彼を支えてくれる人がいる。

そう心の片隅で私が思っていた事は、きっと間違いではなかった。

高校を卒業もしないで、必死に働いて・・・そして一人前になって今彼はここにいる。

「私より、よっぽど海渡のほうが頑張ったし苦労したと思います。
そんなあなたを、私はとても嬉しく思います。
やっぱり、本当に再会できてよかった・・・」

私は心から本当に、そう思っていた。
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