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茜色の空に
第12章 想い出の跡地
俺らの生まれた町は、新宿から2時間かけて電車でいけるいわゆる観光地だ。

もう10年帰っていないその町は、全く変わっていなかった。

まぁちらほら新しい建物が建ったり、または店は入れ替わったりしているが俺たちが過ごした姿そのままだった。

「おまえはちょこちょこ帰ってたんだろ?」

そう言うと倫子は少し首を傾げて言う。

「そうですね・・・一応海渡と離れている間に弟の純が生まれたんで、1年に1回くらいは帰ってましたけど・・・やはり蘭さんとうちの父の家って意識があってあんまり実家感はないんですよね・・・」

確かに仲が悪くないとはいえ、継母が家にいるのはあんまり帰りづらいだろうと思った。

しかしやはり弟は可愛いらしく、スマホに弟の純の写真が入っていて嬉しそうに話す。

俺と月光と同じく半分しか血はつながってないだろうけど、やっぱり兄弟って可愛いもんだよなと俺も思う。

「純が大きくなって、なんかあのとき月光くんと引き離されて辛そうにしてた海渡を思い出しました・・・
やっぱり辛かったでしょうね・・・月光くんは海渡が育てたようなものですもんね・・・」

倫子がそう言い、俺の手を少しだけ強く握った。

記憶の片隅に、笑顔の月光が浮かぶ。

背が伸びて、もしかしたらあんなに可愛かったのに案外いかつい感じになってるかもしれない。

むしろヤンキーみたいになっているのだろうか・・・果たして俺はあいつを見てちゃんと月光ってわかるんだろうか・・・

あいつを探す前から、少しだけ俺は不安になっていた。
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