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茜色の空に
第12章 想い出の跡地
そう、もう関わらないほうが幸せに暮らせるのは解っていた。
俺は親方を見て言った。
「確かに会わないほうが関わらねぇほうが幸せな時もあります。
でも俺は父親もどこの誰だかわかんない、母親はクズだしもう死んだし、血の繋がった肉親は月光しかいないんです……」
それを聞いた親方は、ふぅと小さいため息をついて言う。
「あいつの通ってる大学は中心地にあるあの国立大学だ。
偶然会うのは生徒数も多いし難しいと思うが、行ってみる価値はあると思うがな。
ただ、10年たつと人は変わる。
いまの弟はお前の知ってる弟とは多分かけ離れているとは思うぞ。」
確かに、親方の言うことは正しかった。
「少し考えてみます……」
俺がそう言うと、倫子が不安そうなまなざしで俺を見つめている。
血の繋がりはあっても、月光とはもう赤の他人だ。
傷ついても会いに行くべきか。
それとも諦めてこのまま一生会わずに生きていくべきか。
親方の家を後にしても、やはり俺は悩んでいた。
気がつけばもう夕方で、通勤帰りのひとの波がちらほらとみられる。
倫子が俺の手を握って言った。
「海渡……どちらを選んでもあなたの気持ち次第だと思います。
それでも、やはりあなたは立ち向かっていくほうを望んでいると私は考えてしまうのです。」
俺らしい生き方。
きっと、10年前の俺なら無鉄砲に迷いなく突っ込んでいったろうな、と思った。
倫子に俺は笑いながら言う。
「ごめんな、倫子。
俺、やっぱバカだわ。」
俺は親方を見て言った。
「確かに会わないほうが関わらねぇほうが幸せな時もあります。
でも俺は父親もどこの誰だかわかんない、母親はクズだしもう死んだし、血の繋がった肉親は月光しかいないんです……」
それを聞いた親方は、ふぅと小さいため息をついて言う。
「あいつの通ってる大学は中心地にあるあの国立大学だ。
偶然会うのは生徒数も多いし難しいと思うが、行ってみる価値はあると思うがな。
ただ、10年たつと人は変わる。
いまの弟はお前の知ってる弟とは多分かけ離れているとは思うぞ。」
確かに、親方の言うことは正しかった。
「少し考えてみます……」
俺がそう言うと、倫子が不安そうなまなざしで俺を見つめている。
血の繋がりはあっても、月光とはもう赤の他人だ。
傷ついても会いに行くべきか。
それとも諦めてこのまま一生会わずに生きていくべきか。
親方の家を後にしても、やはり俺は悩んでいた。
気がつけばもう夕方で、通勤帰りのひとの波がちらほらとみられる。
倫子が俺の手を握って言った。
「海渡……どちらを選んでもあなたの気持ち次第だと思います。
それでも、やはりあなたは立ち向かっていくほうを望んでいると私は考えてしまうのです。」
俺らしい生き方。
きっと、10年前の俺なら無鉄砲に迷いなく突っ込んでいったろうな、と思った。
倫子に俺は笑いながら言う。
「ごめんな、倫子。
俺、やっぱバカだわ。」