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茜色の空に
第12章 想い出の跡地
とりあえず、一日にいろんな人と再会して、少し疲れたので二人でカフェに入る。

町が狭いといえど、そんなに偶然に会うなんて事はきっとない。

そう思っていた。

大体、10歳から20歳なんて顔は変わってるだろうし、見ても気づかない可能性もあるな。

俺は至って悪目立ちするから、あっちが話しかけてくる気がなければそれで終わりだ。

「まぁ、奇跡がない限り会えないよなぁ。
たとえ地方都市だとしても、それなりに人もいるしな……」

俺が弱音を吐くと、倫子が心配そうな眼差しで言う。

「せめて今の月光くんの写真があれば別なんですけどね……
ただ、名前は変わっていないので、ライトって名前は学年に一人くらいしかいないと思うのですが。」

すると、カフェの奥のカップルがなんか騒がしい。

どうやら水商売風の女と、それにそぐわないような黒髪の年下そうな男。

彼女は逆上し、持っていた水を思いっきり男に浴びせた。

「俺が誰かわかって水をかけるんですか?あなたは。」

男が女に浴びせた冷たい声色だけが、耳にダイレクトに入ってきた。

聞き覚えのあるその声は、低くはなっているけどあいつの声だ。

俺は思わず立ち上がり、その席のほうへ向かう。

奇跡なんて、そうそう短期間に起こるはずないのに。
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