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茜色の空に
第12章 想い出の跡地
「ちなみにさっき俺に水をかけたのは、組のやつに連れてかれたキャバクラの女。
ちょっとだけ金使って優しくして一回寝たら、彼女気取りになっただけ。
俺は誰も好きにならないし誰も信用しないよ。
でもやっぱり不思議だな。
こんな俺でも、兄ちゃんと倫子ちゃんに少しでも会えて嬉しいって感情はあったよ。」
月光が少しだけ、昔のような穏やかな顔で笑って言った。
そろそろ、迎えがくるから帰らなければいけないといい、月光はカフェを出る。
振り返って、月光は少し寂しそうな顔で言った。
「偶然だけど、会えて嬉しかった。
大学を卒業したら、きっともう二度と会えなくなると思う。
俺は違う世界の人間にならなくちゃいけない。
兄ちゃんと倫子ちゃんは、どうか幸せになってね。
そうすれば、俺のこの人生も無駄じゃないって思えるからさ。」
最後に背をむけて手を振る月光は、なぜか泣いているように見えた。
俺はその後ろ姿を見えなくなるまで見つめていた。
「月光くん・・・誰か彼のそばにずっといてくれる人がいれば・・・少しは救われると思うんです。」
倫子が月光の後ろ姿を見ながら、繋いだ手をぎゅっと握って言った。
俺に倫子がいるように。
あいつにも、そのうちきっと寄り添ってくれる誰かが現れると思う。
会えてよかった、元気でな月光・・・
そう心の中でつぶやいた。
ちょっとだけ金使って優しくして一回寝たら、彼女気取りになっただけ。
俺は誰も好きにならないし誰も信用しないよ。
でもやっぱり不思議だな。
こんな俺でも、兄ちゃんと倫子ちゃんに少しでも会えて嬉しいって感情はあったよ。」
月光が少しだけ、昔のような穏やかな顔で笑って言った。
そろそろ、迎えがくるから帰らなければいけないといい、月光はカフェを出る。
振り返って、月光は少し寂しそうな顔で言った。
「偶然だけど、会えて嬉しかった。
大学を卒業したら、きっともう二度と会えなくなると思う。
俺は違う世界の人間にならなくちゃいけない。
兄ちゃんと倫子ちゃんは、どうか幸せになってね。
そうすれば、俺のこの人生も無駄じゃないって思えるからさ。」
最後に背をむけて手を振る月光は、なぜか泣いているように見えた。
俺はその後ろ姿を見えなくなるまで見つめていた。
「月光くん・・・誰か彼のそばにずっといてくれる人がいれば・・・少しは救われると思うんです。」
倫子が月光の後ろ姿を見ながら、繋いだ手をぎゅっと握って言った。
俺に倫子がいるように。
あいつにも、そのうちきっと寄り添ってくれる誰かが現れると思う。
会えてよかった、元気でな月光・・・
そう心の中でつぶやいた。