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茜色の空に
第12章 想い出の跡地
倫子と俺は、その町のビジネスホテルに泊まる。

俺はもちろんもうこの町に家はねぇし、倫子は倫子で弟とは会いたいけれどやはり気を使うから泊まった方が楽だという理由だ。

あと、二人ともなんかいろんな人にあって微妙な気分だったのもあると思う。

夕飯は適当に済ませ、二人でホテルに帰る。

お互い普段通りにそれぞれシャワーを済ませ、俺は軽くテレビを見ながらビールを飲んでいた。

テレビの内容が全く頭に入ってこないで、つい頭の中で今日あった事を考えてしまう。

「今日の事考えていたんですか?」

倫子が風呂あがりの姿でそう言った。

なんか普段もそこまで化粧はほとんど薄いのに、なんですっぴんだと倫子にこんなに色気を感じるのだろうとかちょっと考えたりする。

「いろいろあったからな・・・
少し疲れたかも・・・
あ、髪の毛乾かしてやるから座って。」


倫子がお風呂を出て髪が濡れていたので、俺がドライヤーを持って乾かす。

彼女の髪は本当に一度も染めた事もないからか、長くても艶やかで乾かしてても気持ちよくて仕方ない。

乾かしながら、知らず知らず倫子に自分の気持ちを吐き出していた。

「俺さ、もしかしたら月光が幸せそうに暮らしてるのを心のどっかで期待してたんだ。
でもやっぱり現実はそんなに甘くねぇよな・・・
解ってたんだけどやっぱりショックだもしれねぇ・・・
でも月光に会った事は公開してねぇんだ。
変わってしまっていても、やっぱり俺はあいつのたった一人の兄貴だもんな・・・」

そう言って倫子の髪の毛を静かに乾かしながら撫でていく。


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