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茜色の空に
第13章 君のためにできる事~side永吉~
俺が笑顔でそう言うと、涙でぐしゃぐしゃの彼女の涙が少し止まる。

そして、少しだけ草壁さんがほほえんだ。

なんとなく、海渡が彼女を大事に思う理由が解った気がする。

彼女は強い・・・そして人の痛みを感じ取りとても思いやりがある。

なんとか生き延びろよ海渡・・・おまえをこんなにも思っている俺と彼女がこんなにおまえが帰ってくる事を願っているんだから。

俺は心の中でそう祈っていた。

数日後、海渡は目を覚ます。

頭の怪我はそこまで重傷ではなく、命に別状はなかったらしい。

ただ息子がそんな状態で、なおかつどうやら海渡の弟も実の父親に連れ去られた状態なのに、彼の母親はいっさい姿を見せない。

なんか、海渡の孤独な瞳の原因が解った気がした。

海渡が退院したのは夏休み終わってすぐの事だった。

新学期が始まってから、なぜか海渡はうわの空。

最初はなんか頭を殴られたせいで変になったかと思ったけれど、どうやらそういう訳ではないみたいだった。

前から海渡は自分の気持ちを滅多に人に言わないから・・・話してくれるまでは俺はそっと見守っておく事にしていた。

それから夏休みが終わって一ヶ月後のある日、海渡が突然この町から姿を消した。
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