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茜色の空に
第13章 君のためにできる事~side永吉~
それから、草壁さんは抜け殻のようになっていった。

俺も一番仲のよかった海渡がいなくなって、心のどこかに何かを置き忘れてしまったように思えた。

「田辺くん・・・ちょっと相談があるんだけど・・・」

たまに林間学校以来少しずつ話すようになった鈴木さんが、俺に真剣な顔つきで話しかけてきた。

「いいよ・・・俺なんかでよければ。
どっちにしろ、草壁さんの事でしょ?」

俺が笑いながらそう言うと、鈴木さんは驚いた顔をする。

だって俺と君との共通点って、いまんところ草壁さんくらいでしょ?って俺は思ったりした。

「どうやったら倫子が元気になってくれるかなぁ・・・」

しょんぼりしながら、鈴木さんは屋上で俺に言った。

そういや、この場所はよく海渡が昼寝しつつここにいる草壁さんをながめていた場所だったんだな・・・そう思い出した。

俺は、遠くにそびえたつ山並みを見つめながら言う。

「悲しいながら、彼女を立ち直らせるのは俺たちには無理なんだよ。
できるのは海渡だけ・・・
そして、草壁さんが自分で立ち直るしか・・・残念ながらないんだよ。
何も出来ないのってつらいよね・・・俺だって・・・なんとかしてあげたいんだ。」

俺がそう言うと、彼女は少し悲しく笑って言った。

「そうだよね、解ってはいるんだ。
私には、倫子を立ち直らせてあげる事はできないんだよね・・・つらいよ、見てるの。」
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