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第14章 夜を越えて～side真木～

彼女は下を向いたまま、ただ震えていた。

恐らく言えない関係の特定の人物なんだろうと、俺はなんとなくそう察した。

「とりあえずこの傷が治るまでは、客にはつかせられねぇ･･･
こっちも商売だからな。
でも、それまでいく所がねぇっていうならとりあえず俺の家で生活するか？」

俺がそう言って、彼女の身体に服をかけてやると彼女は驚いた顔をして俺を見た。

「私を･･･助けてくれるの？」

それは、親をなくした子供の瞳だった。

懐かしいな･･･ちょっと前の若もこんな顔してたな･･･

俺は彼女を見て、属している組の跡取りの少年を思い出した。

しばらくその怪我や傷が治るまでは、ミクは俺の部屋で生活することになった。

こんなど田舎で家賃がたかが知れてるせいか、俺の部屋は2LDKの広さがありむしろ1部屋余っている。

こういう状況になった時のためもあり、誰かまぁ万が一彼女をつくった時のためにとか色々考えて今の広さの家に引っ越したのが1ヶ月前。

タイムリーすぎて、俺は正直驚いている。

俺も馬鹿じゃないから、職場の商品の女に手を出そうとは思わない。

それに、最初の時点の講習で一回やってるから講習以外でやる必要性なんて感じなかったからもある。

ただ、なんか知らないけどミクがほおっておけない･･･そう思ってしまったんだ。

情がわいたのか果たして違う感情なのか･･･今でもそれはわからない。

だって俺は、人生で一度も愛とか恋とかに縁がないからだ。