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茜色の空に
第3章 桜草を君に
「てめぇは妻も子供もいるじゃねぇかよ・・・だからそのババアと結婚できないって理由で認知だけして別れたんだろうが・・・寝言言ってないでさっさと帰りやがれ!」

俺がそう言うと、今度は俺に奴の鉄拳が飛んできた。

とっさの所でその拳をかわす。

「俺の拳を避けるなんていい度胸だなぁ、海渡。昔は俺に殴られてごめんなさいってずっと泣いてたのによぉ・・・」

奴がニヤニヤしながら俺にじりじりと近寄ってくる。

視線の端でババアが逃げようとしてるのをみながら、俺は一歩ずつ後ずさった。

正直、俺も喧嘩は結構強い。

だけど、こいつにはいまだに敵わねぇ・・・

なぜならこいつは、本物の裏社会の人間だからだ。

最初はただの成金のちょっと危険な男だと思っていたが、ババアは男をみる目がなさすぎて本当に迷惑をこうむるのは俺たちだ。

よりによって月光の父親がこんな奴なんて思いたくない。

月光がいる限り、俺たち家族とこのクズとの縁を切ることは不可能なんだ。

ドアまで追いつめられ、クズに顎をつかまれなめ回されるようにみられる。

「本当におまえ金髪に青い瞳してるのな・・・見た目も悪くねぇから金持ちのババアか金持ちのホモに体売れば結構稼げるんじゃねぇか?どうだ?」

気持ち悪さと恐怖に背筋が凍る。

こいつの言いなりになったら、一生食い尽くされるだけの人生だ。
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