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茜色の空に
第3章 桜草を君に
すると、膝の上で握りしめていた手に彼女の手がそえられる。

驚いて彼女を見ると、俺をその澄んだ瞳でまっすぐに見つめていた。

「そんな事であなたを嫌ったりしません。むしろ尊敬します。」

そう言われて俺は目をさらに見開く。

だって明らかにやばい状況の俺なのに、自分から離れないでいるなんてバカだろ。

「だってもしかしたらお前にも下手したら危害及ぶかもしれねぇだろ?怖くねぇのかよ!」

俺がそう言うと、彼女は首を振って言った。

「怖くなんかありません。がんばって自分の目を呈して弟さんやお母さんを守っているあなたはとてもすてきですよ。」

俺の手を握る彼女の手がとても暖かい。

彼女の頬に手を当て、俺は食い入るように彼女を見つめて言った。

「そんな事言われたら、余計期待しちまうじゃねぇかよ・・・」

彼女は少し困った顔をして言った。

「期待しても・・・かまいません・・・」

一瞬、言っている意味が理解できなかった。

「それって・・・どういう意味なんだ・・・?」

俺がそう言うと、彼女が顔を赤らめてうつむいて言った。

「そういう意味にとっていただいても・・・かまいませんから・・・」
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