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茜色の空に
第3章 桜草を君に
彼女の手が微かに震えている。

そっと頬に当ててる手を離し、唇をゆっくりと指でなぞる。

彼女と俺の視線が絡まった。

俺はゆっくりと唇から手を離し、彼女の後頭部に当てた。

「キス、するからな…倫子」

そういうと、彼女は静かに目を閉じた。

そっと静かに彼女の唇に自分のそれを重ねた。

唇ってこんなに柔らかいものなんだろうか…心臓が暴れだして苦しいくらいだ。

軽くキスして唇を離す。

ゆっくりとまぶたをあげると、そこに澄んだ倫子の瞳があった。

「倫子、おまえのことが好きだ」

俺は小さい声でそう囁く。

倫子が少し震えた声で小さくつぶやくように言う。

「わたしも、水瀬くんの事が…好きです…」

それを聞いた瞬間、俺の理性が軽く吹き飛んだ気がする。

脇腹を蹴られたのをわすれて、俺は思いきり倫子を抱きしめた。

「つっ………」

身体に激痛が走ったが、そんなこと忘れるくらい倫子を抱き締めたかった。

「水瀬くんっ……傷に障りますっ……」

倫子がそう言って逃れようとするけれど、俺は彼女を抱き締めて離さない。

「ずっと……キスしていたい……おまえがおれの事好きっていってくれてすっげぇ嬉しいんだ……」

俺がそう言うと、彼女は少し困った顔をしながら微笑んだ。

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