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茜色の空に
第3章 桜草を君に
再び、俺は彼女の唇にキスをする。

今度は唇で優しく包み込み、彼女の上唇と下唇をそれぞれ唇でついばんでキスをした。

あー、舌いれてくいつくしてぇ……

そんな理性と戦いながら、唇を離してそっと倫子を抱き締めていった。

「もうキスしたから後戻りできないからな!ぜってー離さないから覚悟しとけよっ」

俺がそういうと、倫子がクスクスと笑いながら言った。

「覚悟しておきます。ファーストキスは水瀬くんの血の味がしました。」

俺は今更殴られた痛みがぶり返してきて左頬を抑えた。

「っ……あのクズまだなんだかんだで未成年なんだから力の加減しろよっ……」

俺がそう悪態をつくと、心配そうに倫子がいった。

「そのひとに殴られると、この公園にひとりできていたのですか?」

俺はその問いに静かに頷く。

「あいつがきて俺や母親を殴っていくと、どうしても母親にてめぇのせいだとか怒鳴ったり殴りかかったりしそうで怖くてさ……だから冷静になるまでいつもこの公園にきてる……。あんなダメなやつでも母親は母親だし、女を殴ったらあのクズと同類になっちまうしな……」

俺はそう言って、右手を握りしめる。
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