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茜色の空に
第4章 真夏の向日葵
あっという間に林間学校の日になった。

「いって参ります・・・」

誰もいない家にそっと声をかける。

無関心なのは解っていたけど、心の中は空しさに支配された。

ドアをあけると、そこには金髪の長身の水瀬くんが立っていた。

「おはよう」

彼が私の好きな笑顔で声をかける。

彼が私の家のドアの前まで来ているのは初めてだ。

「ずっとそこで待っていらしたのですか?
連絡をくれれば水瀬くんの家まで向かったのに申し訳ないです」

私がうつむいてそう言うと、水瀬君は私の手をとって歩き始める。

「なんとなくおまえが心配になって早起きしてきちまった・・・迷惑だったか?」

彼が不安そうに私に聞く。

私は小さく首を横に振っていった。

「少し、誰も家にいなくて寂しかったので・・・うれしかったです・・・」

水瀬君は少し耳を赤くして、繋いだ手を少し強く握る。

「林間学校中我慢だな・・・おまえと一緒にいるの。
俺どこでも目立っちまうから、おまえのそばに寄ったらすぐ感づかれちまう・・・
なぁ、いい加減隠すのやめねぇか?」

彼が少し寂しそうな顔をしてそう言う。

私もできればもう隠すのはやめてしまいたかったが、彼が結構な頻度で女子にもてまくっているを見ると、色々と怖くてつい一歩を踏み出せなかった。

「できれば、そばにいたいとは思うのですが・・・やはりそこは今のままでいたいのです。
もちろん変な意味で隠したい訳じゃなくて・・・」

そううつむきながら言う私の頭を、彼がぽんぽんと叩いて言う。

「おまえの嫌がる事はできるだけしたくねぇ。
だから解ったよ!二日間我慢するから帰ってきてから・・・」

そう言って、彼に木の陰に引き込まれる。
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