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茜色の空に
第4章 真夏の向日葵
「リンコ、昨日から宇佐美がやたら話しかけてくるけどどうしたの?
一瞬恋か!とか思ったけどリンコはやたら冷たいし・・・
なんかあたしちょっと心配だよ・・・」

圭子が心配そうに話しかけてくる。

私は小さくため息をついて言う。

「なんか知らないけど、つきまとわれてるんです。」

知らないけど、というのは嘘だ。

彼は明らかに、私を困らせるために嫌がらせのごとく話しかけているのは知ってる。

それが姑息な恨みを晴らす手段なのも知ってる。

これだけでは済まないであろうという事も薄々感じ取っている。

でも、もうすでに私にはそんなことはどうでもよくなっていた。

好きにすればいい、どうなってもいい、考えるのも面倒くさい。

私はヤケになっていた。

すると思いがけない人が話しかけてきた。

「草壁、どうした。何かあったか?」

それは、一緒に林間学校に引率でついてきた私が初めて恋をしたと思った憧れの人・・・政輝先生だった。

「大丈夫です、櫻井先生・・・だいじょうぶ・・・」

そう言い掛けた時に、ふと目の前の風景がかすんで見える。

小学生の頃から私の事を知っている政輝先生に話しかけられ、私の涙腺は崩壊したらしい。

人の前で泣く事なんて恥ずかしい事、そう教えられて泣く事なんてなかったのに。

一度あふれた涙はもう止まらなかった。
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