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第4章 真夏の向日葵

びっくりして顔をあげると、ものすごい殺気を放った海渡がわたしたち二人を睨みつけていた。

「あそこまで解りやすいと、鋭い人はもう気づいてると思うよ？
あいつほんと自分の感情に正直だよな。
少しだけ羨ましいよ。」

政輝さんはちょっと意地悪そうな顔で笑って言った。

「話し合うのは怖いだろうが、素直に自分の気持ちをぶつけてごらん。
あれだけ俺にさえヤキモチを妬いているくらいだから、それだけ倫子ちゃんの事をあいつは好きなんだよ。
受け止めてやりなよ。」

なんか、大人になるってこういう事なんだろうなと少し政輝さんがうらやましくなり、彼の奥さんはきっと彼と同じくらい優しくて柔らかい人なんだろうなと優しい気持ちになった。

一瞬だけ海渡と私の視線が絡み合う。

きっと、私と政輝さんをみてきっと誤解しているだろうなと思う。

彼はバツが悪そうにすぐ目をそらし、私と政輝さんに背を向けて歩き出す。

ちゃんと向き合って話して、ちゃんと解り合って一緒に歩いていきたい。

そして、彼に触れたい。

抱きしめたい。

そんな衝動に駆られる。

私たちに背を向けて歩く彼の金色の髪が、日の光にキラキラと煌めいて青い空に映えて真夏に咲く向日葵に見えた。