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茜色の空に
第5章 真夏の夜の悪夢
「海渡、もう彼女とやったかー?」

バイト先の親方はデリカシーなく聞いてくる。

聞かれるたびにへこんだ。

「そう簡単にはいかねぇっす。
初めて付き合うからタイミングわかんなくて……」

小さくため息をついた。

倫子と付き合いはじめて、そろそろ夏休みにさしかかろうとしていた。

大事にしたいって思うのに、ひとつにもなりたい…そんな気持ちを抑えるのに精一杯な俺。

情けないとはおもう。

「そこは男がリードするもんだからなぁ。
初めてならびびるのも解るが、このままだとなかなか進展しねぇぞ!
まぁ、どこかに出掛けた帰りにさりげなくホテルとか誘ってみるとかじゃねぇの?」

さすが40歳いまだ独身モテ男は、多分毎回そうやって女を落としてきたんだろうなとは思う。

仕事が終わりにさしかかったとき、バイト仲間のひとりに呼び止められ見ると、そこに倫子が待っていた。

「おい、海渡の彼女かあれ。
またすっげぇ綺麗で清純派選んだな、おい!」

そう言い、親方に背中をバシバシ叩かれる。

恥ずかしいやら痛いやらで、俺は逃げるようにその場を立ち去ろうとすると、親方に肩を思いっきりつかまれた。

「なぁ、挨拶くらいさせろよ。」

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