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茜色の空に
第5章 真夏の夜の悪夢
「ごめんなさい、本当に私のせいで月光君が……ごめんなさい……」
泣き出した倫子を、俺はそっと抱き締めた。
そして彼女に言い聞かせる。
「いいか、お前のせいじゃ決してないから安心しろ。
いつも親の悪事で傷つくのは、俺達みたいな子供だよ……俺もおまえももちろんアイツも、被害者なんだ……
だから俺を信じてここで待っててくれないか?
必ず、戻ってくるから……」
倫子は不安そうな涙に濡れた瞳を向けたが、俺の決意を悟ったのか静かに頷いた。
倫子だけは泣かせたくなかったのに……
俺は奥歯を強く噛み締める。
月光が泣いてるかもしれねぇ。
俺は倫子のあたまにそっと手を乗せた後、ある場所に向かい走り出す。
走りながら、あいつに電話をかけた。
「もしもし?海渡から電話なんてめずらしーじゃん!」
電話の主は、俺の状況なんて知る由もなく能天気だ。
「栄吉、あんまり話してる暇ねぇけどわりぃな。
緊急事態で……お前サッカー部のやつらがよくたまってる場所で人気のないとこしらねぇ?」
俺がそういうと栄吉は何か悟ったのか急に神妙な声になった。
「海渡いまどこ?」
栄吉を巻き込むつもりはなかったが、あいつは俺が言わない限り教えてくれねぇくらい、頑固で察しのいい性格なのを忘れてた!
泣き出した倫子を、俺はそっと抱き締めた。
そして彼女に言い聞かせる。
「いいか、お前のせいじゃ決してないから安心しろ。
いつも親の悪事で傷つくのは、俺達みたいな子供だよ……俺もおまえももちろんアイツも、被害者なんだ……
だから俺を信じてここで待っててくれないか?
必ず、戻ってくるから……」
倫子は不安そうな涙に濡れた瞳を向けたが、俺の決意を悟ったのか静かに頷いた。
倫子だけは泣かせたくなかったのに……
俺は奥歯を強く噛み締める。
月光が泣いてるかもしれねぇ。
俺は倫子のあたまにそっと手を乗せた後、ある場所に向かい走り出す。
走りながら、あいつに電話をかけた。
「もしもし?海渡から電話なんてめずらしーじゃん!」
電話の主は、俺の状況なんて知る由もなく能天気だ。
「栄吉、あんまり話してる暇ねぇけどわりぃな。
緊急事態で……お前サッカー部のやつらがよくたまってる場所で人気のないとこしらねぇ?」
俺がそういうと栄吉は何か悟ったのか急に神妙な声になった。
「海渡いまどこ?」
栄吉を巻き込むつもりはなかったが、あいつは俺が言わない限り教えてくれねぇくらい、頑固で察しのいい性格なのを忘れてた!