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茜色の空に
第5章 真夏の夜の悪夢
「お兄さんたち、悪いこと言わないからばれないうちに僕のこと家に戻した方がいいよ。
お兄さんたちが危ない。」
物陰で見守っていると、近くの鉄柱に縛られている月光がそう言った。
月光は普段はおとなしくてにこにことしているが、たまに俺の背筋が寒くなるほど冷静な事を言う。
認めたくはないし俺の弟に変わりはないが、やはりあの男の血をひいてるのは間違いないと思う。
すると誘拐して気分が高揚しているのか、そこにいる奴等は月光の言ったことを鼻で笑う。
「は?おまえはただの水瀬んとこのクソガキだろうが!
今の自分の立場わかってんのかよ?」
ひとりがそういって月光の襟首を掴むと、月光は小さくため息をつく。
「お兄さんたちの事と、お兄さんの家族親戚までひどいことになっちゃうよ?
お兄さんたち僕のこと知らないでしょ。」
こんな自分の身が危ない状況なのに、月光は淡々と男たちに言い聞かせる。
「いまだよ、海渡。」
栄吉にそう言われて、俺は物陰から飛び出して一番近いやつに飛び蹴りを食らわした。
「ぐあっ!」
そんなに強く蹴ってはいないが、そいつは蹴った勢いで転がる。
「くそっ!水瀬か!なんでここがわかった!」
どっかの悪党のセリフかよ…と、俺は心のなかで突っ込む。
お兄さんたちが危ない。」
物陰で見守っていると、近くの鉄柱に縛られている月光がそう言った。
月光は普段はおとなしくてにこにことしているが、たまに俺の背筋が寒くなるほど冷静な事を言う。
認めたくはないし俺の弟に変わりはないが、やはりあの男の血をひいてるのは間違いないと思う。
すると誘拐して気分が高揚しているのか、そこにいる奴等は月光の言ったことを鼻で笑う。
「は?おまえはただの水瀬んとこのクソガキだろうが!
今の自分の立場わかってんのかよ?」
ひとりがそういって月光の襟首を掴むと、月光は小さくため息をつく。
「お兄さんたちの事と、お兄さんの家族親戚までひどいことになっちゃうよ?
お兄さんたち僕のこと知らないでしょ。」
こんな自分の身が危ない状況なのに、月光は淡々と男たちに言い聞かせる。
「いまだよ、海渡。」
栄吉にそう言われて、俺は物陰から飛び出して一番近いやつに飛び蹴りを食らわした。
「ぐあっ!」
そんなに強く蹴ってはいないが、そいつは蹴った勢いで転がる。
「くそっ!水瀬か!なんでここがわかった!」
どっかの悪党のセリフかよ…と、俺は心のなかで突っ込む。