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第5章 真夏の夜の悪夢

「おまえらがよくここでサッカーやってるって情報聞いただけだって。
大体高校生の行動範囲なんてたかが知れてるだろ、馬鹿野郎。
つーか、月光を返せ！」

俺が言うと、その場にいる全員が戦闘体勢に入る。

めんどくせぇ……

とりあえず、中心にいる宇佐美に言った。

「おまえ、月光さらったのは倫子への憎しみと家族を大事におもうからだよなぁ？
だったら、家族を危険に晒すこんな真似やめろ今すぐ。
おまえ、月光の父親が誰だか知っててこんなことしてるのかよ！」

そういうと、宇佐美は怒りで震えながら立ちすくむ。

「さっきから家族がどうとかうるせぇんだよ！なんだ？困ってパパに泣きつくのかよ！」

宇佐美がいつもの爽やかなイメージとは裏腹に、怒りに表情を歪ませ叫ぶ。

もう時間がない。

あいつらに勘づかれたら終わりだ。

俺は強行突破をはかるために、宇佐美に突進し胸ぐらつかんで草むらに倒す。

俺のすばやい動作に宇佐美は硬直する。

喧嘩を強くしてくれた点のみは、あのクズに感謝せざるを得ない。

硬直する宇佐美に言う。

「悪いこと言わないからもう引け。
きっとお前の親も兄弟もきっと心配してる。
心配してくれる家族がいるだけいいだろ？」

俺が言うと倒れたまま、宇佐美は言った。