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茜色の空に
第5章 真夏の夜の悪夢
「俺は草壁さんを、少しいいなっておもったんだよ!
綺麗だし誰にでも敬語だし丁寧に接するし……
そう思ってたのに、姉ちゃんを泣かせてる張本人の娘だなんて思わなかった!
姉ちゃん妊娠してるんだぜ…草壁さんの父親の子供をさ!
娘がいるから別れられないの一点張りで、もうなんか泣いてるねえちゃんみて憎しみだけが募って……」

宇佐美が悔しさか怒りか顔を歪ませる。

家族を本当にこいつは大切にしてきたんだろう。

一瞬脳裏にあのババアの顔が浮かんだが、あいつはきっと俺は金さえ稼げばいいくらいの考えだろうなと思った。

俺は言った。

「倫子を逆恨みしようと俺をどうにかしようと、お前の姉の問題は倫子の父親にしか解決できねぇよ……
てめぇは自分の不満を他人になすりつける事で楽になりたいだけだろうが!
つーか月光なんて更に無関係だし仲間のこいつらも無関係だろうが……馬鹿かおまえ……」

そう言うと、宇佐美は俺から目を逸らす。

俺は静かに宇佐美の胸ぐらを掴んでいる手を離した。

「とりあえず月光は連れて帰るからな……
誰にもこのことはいわねぇから、とりあえずもう俺と倫子に2度と近づくんじゃねぇ!」

俺はそう言って、月光に近づく。
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