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茜色の空に
第6章 秋風の狂詩曲
「その年で一人暮らしするのか…思いきったことすんなぁ……」

私が両親の離婚の結論を伝えると、海渡は驚いてそう言った。

新学期が始まって、海渡は退院し普通に学校に来ている。

怪我はもう大分よくなったけど、殴られた部分を刈り上げられて少し不思議な髪型になっていた。

「宇佐美さんのお姉さんは蘭さんというそうです。
来年の春くらいに私が姉になるんです!」

私が嬉しそうに言うと、海渡は少し寂しそうに笑って言った。

「年の離れた兄弟って可愛いよなー。16歳下の弟か妹か……倫子なら可愛がるんだろうな……」

そう言う海渡はとても寂しそうだった。

海渡は言った。

月光くんの父親に、海渡とお母さんは縁を切らされたと。

それが、月光くんを引き取る本妻の条件だったそうだ。

だからきっともう月光くんには、彼が大きくなって自分達を探すまで会えないと。

会えたとしても、彼は自分の知らない世界の人間になっている……そう言っていた。

「あ、一人暮らししたら誰にも気兼ねなく家で過ごせますね!」

そう言うと、海渡は耳を真っ赤に染めてうろたえた。

「そ…それはどういう……」

そうやって表情がくるくると変わる彼が愛しくてたまらない。

でも私は、時折見せる遠くを見つめるような表情の意味を気づかずにいた……
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