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茜色の空に
第6章 秋風の狂詩曲
「倫子はさ、将来どうなりたいとか考えたことあるか?」

ベッドで海渡が私を抱き締めながら聞いてきた。

私は首をかしげながら悩む。

「少なくとも両親と同じ仕事にはつきたくはありませんね…」

私がそう答えると海渡は笑って言った。

「俺なんか親と同じ職業ならホストしかのこってねぇな…」

ホストなんて似合いすぎて不安!なんて彼が傷つきそうなんで思わず飲み込んだ。

海渡がベッドのなかで私をぎゅっと抱き締めて苦しそうに言った。

「このままずっと幸せなままでいれたらいいのにな……」

「海渡……?」

胸騒ぎがして海渡を見る。

なんか消えてしまいそう……そうおもって彼に右手を伸ばして頬に触れようとすると、手をからめられた。

そして彼は私をまっすぐに見て言う。

「俺はなにがあっても、たとえ離ればなれになろうとも、生涯心から愛するのはお前だけだからな……」

「海渡、なにがあったのですか?悩んでるならちゃんと言ってくれないとわかりません……」

わたしがそう言うと、彼は手を離し優しくわたしの髪の毛をなでながら言う。

「なんか幸せすぎるから言っただけだよ。
今まで幸せなんて倫子と出会うまで感じたことがねぇから、未来が不安なんだよ…それだけだ……」

このとき、彼にもう少し語りかけていれば。

家に返さなければよかったと。

わたしは後悔することになったのだ。

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