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茜色の空に
第6章 秋風の狂詩曲
「親方さん……?」
私がそうつぶやくと、彼は大爆笑した。
「そういや名乗ってなかったなぁ。
俺は江川一郎っていうんだ。
普通すぎてよく名前を忘れられるけどな!
一郎でいいぜ!」
そういって彼は笑顔をみせた。
ちょっと付き合えよと言われ、わたしは彼に連れられ喫茶店に入る。
端から見ると正直いかがわしい関係にしかみえないだろうなと思った。
「倫子ちゃんちゃんと食ってるか?
まだ立ち直れてねぇみたいだな。」
そう言いながら彼はタバコに火をつける。
タバコが似合うひとだな、とぼんやりと考えていると彼が口を開いた。
「海渡の手紙を郵便ポストにいれたのは俺だよ。」
意外な言葉にわたしは固まった。
てっきり、彼が別れ際にいれていったのだと思っていたのだ。
「なんで……あなたが?」
私が動揺して言うと、彼がタバコをふかしつつ言った。
「海渡が最後にバイトにきた日に俺にいったんだ。
倫子ちゃんに渡してくれってな。」
彼が深くため息をつく。
「彼に、なにがあったのでしょうか?」
言いながら、私の手が震えていた。
一郎さんが窓の外をぼんやりと見つめながら口を開く。
「あいつは親に売られそうになったんだよ。」
嫌な予感は的中した。
私がそうつぶやくと、彼は大爆笑した。
「そういや名乗ってなかったなぁ。
俺は江川一郎っていうんだ。
普通すぎてよく名前を忘れられるけどな!
一郎でいいぜ!」
そういって彼は笑顔をみせた。
ちょっと付き合えよと言われ、わたしは彼に連れられ喫茶店に入る。
端から見ると正直いかがわしい関係にしかみえないだろうなと思った。
「倫子ちゃんちゃんと食ってるか?
まだ立ち直れてねぇみたいだな。」
そう言いながら彼はタバコに火をつける。
タバコが似合うひとだな、とぼんやりと考えていると彼が口を開いた。
「海渡の手紙を郵便ポストにいれたのは俺だよ。」
意外な言葉にわたしは固まった。
てっきり、彼が別れ際にいれていったのだと思っていたのだ。
「なんで……あなたが?」
私が動揺して言うと、彼がタバコをふかしつつ言った。
「海渡が最後にバイトにきた日に俺にいったんだ。
倫子ちゃんに渡してくれってな。」
彼が深くため息をつく。
「彼に、なにがあったのでしょうか?」
言いながら、私の手が震えていた。
一郎さんが窓の外をぼんやりと見つめながら口を開く。
「あいつは親に売られそうになったんだよ。」
嫌な予感は的中した。