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第3章 【太郎 side】

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俺は今、義母になったマホさんと姉の一子、弟の次郎と４人で暮している。
現在失踪中の精多郎を含めても俺と血の繋がりがあるのは弟のみ、それも半分だけだ。
実の父親なんかどこの誰だか知らないし、母親ともずいぶん会ってないから、もし町ですれ違っても分からないかもしれない。

こんな複雑な家庭環境のわりに、まともに育った方なんじゃないか、と自分では思っている。

ただ、問題があるとすればそれは姉の一子だ。

母親代わりとして一生懸命なのは分かるが、俺にしてみれば高校生と中学生とはいえ学年が一つ違うだけで大人ぶる彼女がうっとうしいし、次郎は懐くどころかむしろ世話を焼かれすぎて怖がっているというのに当人はまったく気づいていない。

あと、何年か前に父子ではありえない血液型だと知り、ショックのあまり泣くかと思った彼女がいきなり精多郎に告白した時は無性に腹が立った。当然その場ですぐにフラれたからまだ良かったが、その後くらいから一子を見るたびなんだか胸がモヤモヤするようになってしまったのだ。

一緒に住んでいる以上、顔を合わせない日はないから　これには本当に困っている。

もしかして血縁関係がないとはいえ長年家族として暮している父親に恋愛感情を抱く一子を心の中で軽蔑しているのだろうか？

俺は自分が思っているよりモラリストなのかもしれない。