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令嬢は元暗殺者に恋をする
第10章 新たな出会い
 ハルと同じ年頃の少年たちを見つけては、心当たりはないかを聞いて回った。

 少し勇気がいったが、酒場にも足を運んでみた。しかし、結果はサラを喜ばせるものには至らなかった。

 だが、もしこの時テオから聞かされた、ハルの友達らしき人物、シンという少年の名を出していたら、ずいぶんと違った展開にことは進んでいたのかもしれない。

 歓楽街の酒場のどこかに必ず、ほぼ毎日といっていいほど、シンは現れていたのだから。

 それに彼の容貌も存在もかなり目立つが故、誰の記憶にも強い印象として残っていたはず。しかし、サラの頭には、とうにそんな少年のことなど忘れ去っていた。

 ただ、ハルのことしか考えていなかった。

 手がかりがつかめないまま診療所へと戻り、夕飯を食べては疲れて眠る。
 そんな毎日の繰り返しにやがて、当初の意気込みよりも、刻一刻と過ぎていく時間に焦りを抱き始める。

 やはり、ハルを探すことは無理だったのかと……。

 心のどこかで思い始めるのであった。
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