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令嬢は元暗殺者に恋をする
第10章 新たな出会い
 この日も、街娘の恰好に扮してサラは町を歩き回った。

 アルガリタの町の地図を片手に、探しもらしたところを見つけ丹念に調べ回る。そうして、地図の上に新たに増えていく×印にため息を覚えるのであった。

 ふと、サラは立ち止まり、歓楽街から脇に外れた向こう、綺麗な花の彫刻で飾り立てられた弓形門の、その奥の路地に視線を向ける。

 そこはきらびやかな建物が軒並み連なる花柳街、娼館が並ぶ通りであった。

 サラは何とはなしに門をくぐり、興味に誘われるまま足を向けた。
 珍しそうな眼差しで辺りを見渡す。

 時間的にはまだ正午を迎える少し前。
 辺りはまだ静かだ。

 時折、上の階から仕事前の女たちが、気怠げな瞳でこちらを見下ろす姿も見られた。

 夜ともなればあちこちの洋灯に火が灯り、建物の窓枠に嵌め込まれた色玻璃があでやかな光を放ち、見事なまでに美しく幻想的な空間を作り出すであろう。

 ハルもこういった所にくるのかな。
 でも、女の子の私がこんなところで立ってたら、絶対変に思われるわね。
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