この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
令嬢は元暗殺者に恋をする
第11章 裏街へ
 高い塀に囲まれた裏街では外の喧噪さえも届かず、不気味な静寂と病んだ気配が辺りを支配する。
 そんな禁断の領域に踏み込んだサラは、ただ呆然とするばかりであった。

 なんて腐敗した所なのだろう。
 これがアルガリタの町の一部なのか。

 町も荒んでいるが、そこに住まう人々も同じくらい、いや、それ以上に荒んでいた。

 路地脇では気怠そうに力無く座る者。
 涎を垂らし、無意味に笑っている者。
 苦痛を訴え、もがき苦しんでいる者。
 さらに、古びた家屋の中からは、男と女の淫らな喘ぎ声が聞こえてくる。

 そんな光景がそこかしこで見られた。

「怖じ気ついたか? まあ、無理もないな。あんたみたいなお嬢さんが、踏み込めるような場所じゃないからな」

 シンの言葉に、サラはまなじりをつり上げる。

「本当に、ここにハルがいるのね」

「嘘は言わないさ。もっとも、あいつがまだここにいればの話だけどね」

 両手を頭の後ろで組み、口許に薄い笑いを刻んでシンは言う。

 本当なのか嘘なのか、どちらとも計りかねるシンの表情と口調に、サラはわずかなためらいをみせる。

 もしかして、彼は自分を試しているのだろうか。
 それほどまでに思う相手に会いたいのなら、あんたの勇気を示してみなと。

 サラはきつく唇を引き結ぶ。
 とにかく今は、たった一つの手がかりにすがるしかない。
 シンというこの男を信じるしか。

 それでも、胸に落ちる不安を完全に拭い去ることはできなかった。もしも、騙されていたら自分はどうなってしまうのか。
 考えただけでも恐ろしい。
/835ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ