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令嬢は元暗殺者に恋をする
第12章 やっと再会できたのに
「え? ええーっ! ち、ちょっと待って、そこはまずいって」

「そうですよ。まずいですよ!」

 扉に手をかけようとしているサラを、慌てて少年たちはだめだだめだと、引き止める。

「何でとめないんですか、頭! そこにあいつがいるんですよね?」

 あいつと言って、少年たちは露骨に顔を歪める。

「ていうか、頭なんとかしてくださいよ。あいつがこの裏街にいるだけで、もう空気がぴりぴりしちゃって、居心地悪いったらありゃしない」

「しばらく見かけなかったから、どっか行っちまったんだとほっとしてたのに、またふらりと戻ってきやがったんすよ」

「かかわらなければ、害はねえだろ?」

「……そうは言いますけど、もう、存在自体が害ですよ、あいつは」

「そうそう、この間も我慢ならねえって、仲間のひとりがあいつに刃向かったら、反対に腕へし折られて泣きべそかきながら帰ってきたんすよ」

 シンは、はははと愉快そうに声を上げて笑った。
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