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令嬢は元暗殺者に恋をする
第12章 やっと再会できたのに
「笑いごとじゃないっすよ、頭」

「腕折られただけですんだんなら、そいつは幸運だと思っておけ。俺はあいつとやりあって、死にかけた」

「し、死に……?」

 え? という顔でサラはシンを仰ぎ見る。

「それはまあ……」

 そうだけど……と少年たちは渋面顔を作る。
 何とも重苦しい空気が落ちた。

「ほら、おまえらもう行け。いや……俺ももう少ししたらこの子を連れて帰る。それまでにおかしな奴らが通路にいたら追っ払っておけ」

「はい!」

「了解っす!」

 シンの言いつけに嬉しそうに少年たちは応え、それぞれ散っていってしまった。

 遠ざかっていく彼らの背中を見送り、シンは再びサラに向き直る。

「すっかり邪魔がはいったな」

「ねえ、頭って?」

「そんなことはどうでもいいんだよ。で、どうするんだ? 中を確かめるのか、それともやめるのか?」

「決まってるでしょう!」

 おかげで迷いは振り切れた。

 何を見てしまったとしても、ハルに対する私の気持ちは変わらない。
 それが答えだわ。

 サラは扉に手をかけ、勢いよく開け放った。

「だけど、お子さまには刺激が強すぎるかもね」

 汚れた壁に背中をあずけ、腕を組んでシンは皮肉めいた口調で低く呟いた。
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