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令嬢は元暗殺者に恋をする
第12章 やっと再会できたのに
 突然、脈絡のないことを言い出すサラに、シンは形のよい眉を上げる。

「寂しくて誰かの温もりが欲しくて、抱きしめて欲しくて、だから、ああいうことをしているのよ」

「す、すごい都合のいい解釈だな。あんた、何も感じないのか? あんな場面を見せられて」

「見せたのはあなたじゃない!!」

 シンはうっと声をもらした。

「それに、何も感じないわけではないわ。でも、ハルみたいな人なら、女の人の一人や二人や三人……それ以上いてもおかしくないって覚悟はしてた。だけど、あなたの話を聞いて安心した」

「安心?」

「ええ、ハルに特別な人がいないなら、私にも望みはある。だから、絶対にあきらめない。いつかハルの腕に抱きしめてもらえるのは、他の誰でもないこの私。いいえ、 私が彼の全てを包み込んであげるの」

「お子さまとはいえ、女にそこまで言ってもらえるあいつが正直、羨ましいよ」

「あなたにはいないの?」

「残念ながらね」

「それはあなたが悪いのよ。あなた、人を真剣に好きになったことがないのでしょう?」

 サラの言葉がちくりと胸に突き刺さった。
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