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令嬢は元暗殺者に恋をする
第12章 やっと再会できたのに
「はは、まさか、あんたみたいなお子さまに諭されると思いもしなかったよ」

「ねえ、さっきから聞いていれば、お子さまお子さまって、子ども扱いしないでくれ……」

 不意に、サラはあっと声を上げて立ち上がった。

 先ほどの場所からハルが姿を現したからだ。

 つい今しがたまで色事に没頭していた様子など微塵もうかがわせない、それどころか、そんな羞恥な場面を他人に見られてしまったという気まずさも見せない、涼しい表情であった。

「ハル!」

 ハルの元へと駆け出していったサラは、大きく手を広げ、相手の一歩手前で思いっきり飛び上がり首筋へと抱きついた。

「会いたかったの! すごくハルに会いたかった。ずっと、探していたの。どうして、何も言わずに出ていってしまったの。私、すごく心配したんだから」

 抱きついてきたサラの身体を抱きとめたものの、ハルの表情には何の感情も表れてはいない。

 そんな光景を見せつけられて、シンは口許に苦い笑いをにじませる。

 ハルはゆっくりと視線を上げシンを見る。
 その目には、何故こいつをここへ連れてきた、と咎める色が浮かんでいた。対して、シンはだって、仕方がないだろう、と肩をすくめて答える。

 抱きついてきたサラの身体をハルは無理矢理引きはがした。
 藍色の瞳が目の前の少女を冷ややかに見下ろす。
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