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令嬢は元暗殺者に恋をする
第15章 星夜の語り
そこへ、窓にこつんと小石がぶつかる音を聞き、シンは窓辺へと歩み寄る。
すでに家々の灯も消え、外は暗闇に包まれていた。
窓を開け放ち、すぐ真下の通路をのぞき込む。
星明かりの下、腕を組み憮然とした顔でこちらを見上げているひとりの少年の姿があった。
よく知った顔だ。
「カイか、どうした?」
シンの問いかけに、カイと呼ばれた少年は険しく眉根を寄せる。
「それはこっちが聞きたい。おまえこそ、そんなところで何をしている」
問い返すその言葉は厳しい。
シンは参った参ったと頭に手をあてた。
「いやー、成り行きでこんなことになっちまって」
「ああ、昼間のことは聞いた」
「もうおまえの耳に入ったか?」
「当然だ。裏街のシンが、たかがひとりの小娘に振り回されているとな」
シンは大仰に肩をすくめ、窓の縁に腰をかけた。
「振り回されてるか……ま、本当のことだから、何も言い返せねえな」
「おまけに、あいつがからんでいるということもな」
カイが言うあいつとは、言わずもがなハルのことだ。
「戻って来い」
「それが、いろいろ面倒ごとに巻き込まれちまってだな」
「なら、その面倒ごと、俺が引き受けてやる。あいつをぶちのめせばいいんだな」
シンははは……と空笑いを浮かべた。
もうこれ以上、話を複雑にされるのは勘弁して欲しい。っていうか、どこでどうハルをぶちのめすという話にすり替わったのか。
全然そういう話じゃないんだが。
まあ、いいか。
説明するのも面倒くさい。
「それはそうとハルの奴はどうしてんだ?」
「俺が知るか」
すでに家々の灯も消え、外は暗闇に包まれていた。
窓を開け放ち、すぐ真下の通路をのぞき込む。
星明かりの下、腕を組み憮然とした顔でこちらを見上げているひとりの少年の姿があった。
よく知った顔だ。
「カイか、どうした?」
シンの問いかけに、カイと呼ばれた少年は険しく眉根を寄せる。
「それはこっちが聞きたい。おまえこそ、そんなところで何をしている」
問い返すその言葉は厳しい。
シンは参った参ったと頭に手をあてた。
「いやー、成り行きでこんなことになっちまって」
「ああ、昼間のことは聞いた」
「もうおまえの耳に入ったか?」
「当然だ。裏街のシンが、たかがひとりの小娘に振り回されているとな」
シンは大仰に肩をすくめ、窓の縁に腰をかけた。
「振り回されてるか……ま、本当のことだから、何も言い返せねえな」
「おまけに、あいつがからんでいるということもな」
カイが言うあいつとは、言わずもがなハルのことだ。
「戻って来い」
「それが、いろいろ面倒ごとに巻き込まれちまってだな」
「なら、その面倒ごと、俺が引き受けてやる。あいつをぶちのめせばいいんだな」
シンははは……と空笑いを浮かべた。
もうこれ以上、話を複雑にされるのは勘弁して欲しい。っていうか、どこでどうハルをぶちのめすという話にすり替わったのか。
全然そういう話じゃないんだが。
まあ、いいか。
説明するのも面倒くさい。
「それはそうとハルの奴はどうしてんだ?」
「俺が知るか」

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