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令嬢は元暗殺者に恋をする
第15章 星夜の語り
「ね、ねえ、もっと側に寄って見てもいい?」

 ようやく落ち着きを取り戻したサラの瞳に、珍しいものを見たという子どものような好奇心が過ぎっていた。

 少し驚いた顔で、シンは別に構わないけど、と苦笑混じりに声を落とす。

 大抵の者はこれを見て、腰を抜かして逃げてしまうものであったが、どうやら彼女はそうでもなかったらしい。

 何より、刺青を彫ること自体も凄いのだが、それ以上に彫られた絵が相手の度肝を抜く絵柄であったから。

 おそるおそる、サラはシンの背中に近づいてその彫られた絵を眺めていた。

 大きな漆黒の翼を広げた堕ちた女神。
 その女神の身体を焼き尽くすように、紅蓮の炎が燃え上がる。
 苦悶に歪む女神の表情。

 シンの背中のそれは禍々しくも一枚の絵画の如く、鮮やかで美しかった。

「ねえ……」

「なんでこんなもの彫(い)れたの? なんて、質問は遠慮して欲しいな」

 図星さ故に、サラは言葉をつまらせてしまう。

「……痛くなかった?」

「多少はね」

 ふーん、と声を落としながらも、サラは食い入るようにシンの背中を見つめている。

「触れてもいい?」

「別にかまわないけど」

「触っても色落ちしない?」

「するか!」

 そっと、遠慮がちに触れるサラの指先の感触。まるで、そこだけが熱を持ったように熱く感じられた。

 胸にちりっとした痛みを感じる。

「想像するだけで身がよじれそうだわ。これをいれた時、もしかして痛くて泣いた?」

 シンはわずかにまぶたを落とした。
 濃い紫の瞳がかすかに揺れ動く。

 泣いたのは刻まれていく身体の痛みではなく、心に巣くった遣りきれない痛み。
 幼い頃の、過去の忘れられない出来事を思い出して……。

 だが、それも遠い昔のこと。
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