この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
令嬢は元暗殺者に恋をする
第15章 星夜の語り
「ねえ、あなた泣きそうな顔してるわ。大丈夫?」
不意に、強く腕を揺さぶられ、シンは我に返った。
目の前で心配な顔をしながらサラがのぞきこんでいる。
彼女の薄茶の瞳は心からシンを気遣うように揺れ動いていた。
意外にも、可愛いところがあるのだと、シンは口許に緩やかな笑みを浮かべた。そして、心配はないよ、と目の前の少女のふわふわの柔らかい髪をなでる。
今度ばかりは子ども扱いしないで、とは言われなかった。
「ほら、もう部屋に戻れ。こんな遅い時間に男の部屋にひとりで入って来るな。そんなこともわからない年じゃないだろう?」
「あら、信用している人でも?」
首を傾げるサラに、シンは緩く首を左右に振る。
「ああ、信用している奴でもだめだ」
「あなたでも?」
思わず答えに窮してしまった。
相変わらず、無邪気な顔をするサラに苦笑いを浮かべて頭をかく。
よくわからないが、これでもいちおう俺は信用されているのかと。
さっきはあなたなんか大っ嫌いと言っていたのに。
「俺のこと嫌いじゃなかったのか?」
「もう、許してあげるわ」
「だけど、そうして無防備になるのは本当に、好きな男の前だけにしな。他人に見せる顔ではないだろ? いいね」
しんとした静寂に、言い含ませるようなシンの優しい声音が溶けていく。
じっとシンを見上げていたサラは、ふいっと視線を逸らし、窓の外に視線を向け目を輝かせた。
「あ! 流れ星が見えたわ!」
嬉々とした声を上げ、サラは窓から身を乗り出し大きく空を仰ぎ見る。
「おまえ、人の話を全然聞いてないな……」
「綺麗な夜空ね。とっても澄んでて綺麗……ほら、見て」
サラは高い夜空を指さし、もう片方の手でシンを手招いた。
「あの川のように見える星の群が星河なのよ。あなた知ってる?」
「ああ、夏の星河はことさら見事だからな。とくに今夜は新月。月明かりがないからなおさらだ」
少し驚いたように目を開き、サラはシンを仰ぎ見る。
シンも窓際へと寄り、片手を窓の縁へと添え夜空に視線をさまよわせる。
不意に、強く腕を揺さぶられ、シンは我に返った。
目の前で心配な顔をしながらサラがのぞきこんでいる。
彼女の薄茶の瞳は心からシンを気遣うように揺れ動いていた。
意外にも、可愛いところがあるのだと、シンは口許に緩やかな笑みを浮かべた。そして、心配はないよ、と目の前の少女のふわふわの柔らかい髪をなでる。
今度ばかりは子ども扱いしないで、とは言われなかった。
「ほら、もう部屋に戻れ。こんな遅い時間に男の部屋にひとりで入って来るな。そんなこともわからない年じゃないだろう?」
「あら、信用している人でも?」
首を傾げるサラに、シンは緩く首を左右に振る。
「ああ、信用している奴でもだめだ」
「あなたでも?」
思わず答えに窮してしまった。
相変わらず、無邪気な顔をするサラに苦笑いを浮かべて頭をかく。
よくわからないが、これでもいちおう俺は信用されているのかと。
さっきはあなたなんか大っ嫌いと言っていたのに。
「俺のこと嫌いじゃなかったのか?」
「もう、許してあげるわ」
「だけど、そうして無防備になるのは本当に、好きな男の前だけにしな。他人に見せる顔ではないだろ? いいね」
しんとした静寂に、言い含ませるようなシンの優しい声音が溶けていく。
じっとシンを見上げていたサラは、ふいっと視線を逸らし、窓の外に視線を向け目を輝かせた。
「あ! 流れ星が見えたわ!」
嬉々とした声を上げ、サラは窓から身を乗り出し大きく空を仰ぎ見る。
「おまえ、人の話を全然聞いてないな……」
「綺麗な夜空ね。とっても澄んでて綺麗……ほら、見て」
サラは高い夜空を指さし、もう片方の手でシンを手招いた。
「あの川のように見える星の群が星河なのよ。あなた知ってる?」
「ああ、夏の星河はことさら見事だからな。とくに今夜は新月。月明かりがないからなおさらだ」
少し驚いたように目を開き、サラはシンを仰ぎ見る。
シンも窓際へと寄り、片手を窓の縁へと添え夜空に視線をさまよわせる。

作品検索
しおりをはさむ
姉妹サイトリンク 開く


