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令嬢は元暗殺者に恋をする
第15章 星夜の語り
「ねえ、あなた泣きそうな顔してるわ。大丈夫?」

 不意に、強く腕を揺さぶられ、シンは我に返った。

 目の前で心配な顔をしながらサラがのぞきこんでいる。
 彼女の薄茶の瞳は心からシンを気遣うように揺れ動いていた。

 意外にも、可愛いところがあるのだと、シンは口許に緩やかな笑みを浮かべた。そして、心配はないよ、と目の前の少女のふわふわの柔らかい髪をなでる。

 今度ばかりは子ども扱いしないで、とは言われなかった。

「ほら、もう部屋に戻れ。こんな遅い時間に男の部屋にひとりで入って来るな。そんなこともわからない年じゃないだろう?」

「あら、信用している人でも?」

 首を傾げるサラに、シンは緩く首を左右に振る。

「ああ、信用している奴でもだめだ」

「あなたでも?」

 思わず答えに窮してしまった。

 相変わらず、無邪気な顔をするサラに苦笑いを浮かべて頭をかく。

 よくわからないが、これでもいちおう俺は信用されているのかと。
 さっきはあなたなんか大っ嫌いと言っていたのに。

「俺のこと嫌いじゃなかったのか?」

「もう、許してあげるわ」

「だけど、そうして無防備になるのは本当に、好きな男の前だけにしな。他人に見せる顔ではないだろ? いいね」

 しんとした静寂に、言い含ませるようなシンの優しい声音が溶けていく。

 じっとシンを見上げていたサラは、ふいっと視線を逸らし、窓の外に視線を向け目を輝かせた。

「あ! 流れ星が見えたわ!」

 嬉々とした声を上げ、サラは窓から身を乗り出し大きく空を仰ぎ見る。

「おまえ、人の話を全然聞いてないな……」

「綺麗な夜空ね。とっても澄んでて綺麗……ほら、見て」

 サラは高い夜空を指さし、もう片方の手でシンを手招いた。

「あの川のように見える星の群が星河なのよ。あなた知ってる?」

「ああ、夏の星河はことさら見事だからな。とくに今夜は新月。月明かりがないからなおさらだ」

 少し驚いたように目を開き、サラはシンを仰ぎ見る。
 シンも窓際へと寄り、片手を窓の縁へと添え夜空に視線をさまよわせる。
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