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令嬢は元暗殺者に恋をする
第16章 再びハルに会いに
シンと裏街の少年二人が、ベゼレートの診療所で会話を交わしていたその少し前。再び裏街へと足を運んだサラは、ひとり暗黒街の入り口に立ちつくしていた。
夕飯の下準備をしておけとテオに言いつけられたシンが、さやえんどうの筋取りに夢中になっている隙を見て、こっそりと診療所を抜け出してきたのだ。
やっぱり来てしまったわ。
だって、どうしてもハルに会いたいから。
昨日、ハルを見かけたあの場所にもう一度行けば、もしかしたらまた会えるかもしれないと思ったから。
サラの脳裏にシンの姿が過ぎった。
どれだけ裏街(ここ)が危険かはシンがさんざん語ってくれた。
もう二度と裏街には行くなと言われた。
このことをシンが知ったら、きっと怒るだろう。
けれど、ここへ来なければ会いたい人に会うことはできない。
約束を破ってしまって、ごめんなさい。
でも……私、行くわ。
サラはぐっと手を握りしめ、足を一歩踏み出し裏街へと歩み出す。
奥へ奥へと歩を進めるごとに、辺りは薄暗さを増し、吐き気をもよおす、すえた臭いが鼻をつく。
ねっとりとまとわりつく空気に、思わず震える手で肩を抱きしめた。
昨日と同じ、辺りに人の気配はないように感じられた。なのに、誰かに見られているような感覚。
不意に足を止め、今来た道を振り返る。
まだ目に届く範囲に外の世界が見える。
走って戻ればすぐそこであった。
やはり、引き返した方がいいのだろうか。
もう一度、シンにお願いをして同行してもらうべきか。
一度歩みを止めた途端、ハルに会うためならどこへだって行く、という決心まで揺らぎ、足がすくんで動けなくなってしまった。
何のためにここまで来たの。
行かなければ。
ためらいを振り切り、再び歩き出そうとしたサラの目の前を突如、数人の男たちが立ちふさいだ。
夕飯の下準備をしておけとテオに言いつけられたシンが、さやえんどうの筋取りに夢中になっている隙を見て、こっそりと診療所を抜け出してきたのだ。
やっぱり来てしまったわ。
だって、どうしてもハルに会いたいから。
昨日、ハルを見かけたあの場所にもう一度行けば、もしかしたらまた会えるかもしれないと思ったから。
サラの脳裏にシンの姿が過ぎった。
どれだけ裏街(ここ)が危険かはシンがさんざん語ってくれた。
もう二度と裏街には行くなと言われた。
このことをシンが知ったら、きっと怒るだろう。
けれど、ここへ来なければ会いたい人に会うことはできない。
約束を破ってしまって、ごめんなさい。
でも……私、行くわ。
サラはぐっと手を握りしめ、足を一歩踏み出し裏街へと歩み出す。
奥へ奥へと歩を進めるごとに、辺りは薄暗さを増し、吐き気をもよおす、すえた臭いが鼻をつく。
ねっとりとまとわりつく空気に、思わず震える手で肩を抱きしめた。
昨日と同じ、辺りに人の気配はないように感じられた。なのに、誰かに見られているような感覚。
不意に足を止め、今来た道を振り返る。
まだ目に届く範囲に外の世界が見える。
走って戻ればすぐそこであった。
やはり、引き返した方がいいのだろうか。
もう一度、シンにお願いをして同行してもらうべきか。
一度歩みを止めた途端、ハルに会うためならどこへだって行く、という決心まで揺らぎ、足がすくんで動けなくなってしまった。
何のためにここまで来たの。
行かなければ。
ためらいを振り切り、再び歩き出そうとしたサラの目の前を突如、数人の男たちが立ちふさいだ。

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