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令嬢は元暗殺者に恋をする
第17章 あなたの瞳に私をうつして
「だめ! 殺さないで……殺してはだめ!」
サラの叫び声にハルの手が緩む。
男はだらしなく口を開け、力が抜けたように再びその場にへたり込んだ。
「じ、冗談じゃねえ!」
残りの男たちは、情けない悲鳴を上げ、すぐさま身をひるがえし、その場から逃げ去ってしまった。
「ひ、ひーっ! 待ってくれ……俺を置いていくな!」
地面にへたりこんでいた男も、這いつくばるようにして仲間の後を追っていく。
ハルは手にしていた短剣を投げ捨て、ゆっくりと、腰が抜けたように座り込むサラを冷ややかな目で見下ろした。
「ハル……」
ハルの冷たい視線に見つめられ、素直に会いたかったと喜ぶことができなかった。
怖くて動くことができない。
「助けにきてくれて、ありがとう……」
それだけを言うのが精一杯であった。
しかし、ハルから言葉をかけられることはなかった。
引き裂かれた衣服の前をかきあわせ、いたたまれない気持ちでサラはごめんなさいと呟いてうつむく。
長い沈黙に、不安で胸が押しつぶされてしまいそうだった。
しばらくして、頭の上で重いため息をひとつ聞くと同時に、目の前に上着が投げつけられた。
ハルが自分の上着を脱いで渡してくれたのだ。
落ちた上着を手にとって羽織り、両手で自分の肩を抱きしめる。
「謝るなら、何故ここへ来た」
視線と同じ冷たいハルの声に身体が震えた。その震えを押さえ込むように、肩を抱きしめている手に力を込める。
「シンに、ここへは来るなと言われなかったか?」
「それは……」
「言われたはずだな」
答えられなかった。
「なのに、あんたはあいつを裏切った」
裏切った……。
その言葉が胸に重くのしかかる。
そう、私はシンとの約束を破ってしまった。
いいえ……。
サラは違うと心の中で否定する。
ハルに会うためにここへ来るつもりだった。なのに、もうここへは来ないと、シンに嘘をついた。
サラの叫び声にハルの手が緩む。
男はだらしなく口を開け、力が抜けたように再びその場にへたり込んだ。
「じ、冗談じゃねえ!」
残りの男たちは、情けない悲鳴を上げ、すぐさま身をひるがえし、その場から逃げ去ってしまった。
「ひ、ひーっ! 待ってくれ……俺を置いていくな!」
地面にへたりこんでいた男も、這いつくばるようにして仲間の後を追っていく。
ハルは手にしていた短剣を投げ捨て、ゆっくりと、腰が抜けたように座り込むサラを冷ややかな目で見下ろした。
「ハル……」
ハルの冷たい視線に見つめられ、素直に会いたかったと喜ぶことができなかった。
怖くて動くことができない。
「助けにきてくれて、ありがとう……」
それだけを言うのが精一杯であった。
しかし、ハルから言葉をかけられることはなかった。
引き裂かれた衣服の前をかきあわせ、いたたまれない気持ちでサラはごめんなさいと呟いてうつむく。
長い沈黙に、不安で胸が押しつぶされてしまいそうだった。
しばらくして、頭の上で重いため息をひとつ聞くと同時に、目の前に上着が投げつけられた。
ハルが自分の上着を脱いで渡してくれたのだ。
落ちた上着を手にとって羽織り、両手で自分の肩を抱きしめる。
「謝るなら、何故ここへ来た」
視線と同じ冷たいハルの声に身体が震えた。その震えを押さえ込むように、肩を抱きしめている手に力を込める。
「シンに、ここへは来るなと言われなかったか?」
「それは……」
「言われたはずだな」
答えられなかった。
「なのに、あんたはあいつを裏切った」
裏切った……。
その言葉が胸に重くのしかかる。
そう、私はシンとの約束を破ってしまった。
いいえ……。
サラは違うと心の中で否定する。
ハルに会うためにここへ来るつもりだった。なのに、もうここへは来ないと、シンに嘘をついた。

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