この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
令嬢は元暗殺者に恋をする
第17章 あなたの瞳に私をうつして
 ようやく、ハルと向き合うことができた。
 ほんの少しだけど、希望が持てた。

「もうここには来ないわ」

 ううん、とサラは首を振る。

「私、お屋敷に戻らなければいけないの」

 サラの手がハルの両腕をきゅっとつかむ。

「お願い、逃げないで。そのままじっとして」

 ハルの胸に私の思いを刻みつけたい。
 私のことを少しでも気にかけてくれるように。

「ハル、好き」

 ん……とつま先立ちになって、ハルの唇に自分の唇をちゅっと重ねた。
 それはあまりにも幼なく拙すぎる、触れるか触れないか程度の口づけ。
 サラはそろりとハルを見上げる。

「へたくそ」

「へたっ! だって……」

 やにわに、ハルの手がサラのあごをつかんで上向かせる。

「キスの仕方は教えてやっただろう? 忘れた?」

 先日のことを思い出し、サラはかっと顔を赤く染めた。

「今のキスじゃ、その気にもなれない。もう一度教えてやろうか? 今ここで」

 ハルの唇が近づいてくる。

 今ここでって……!

「ちょ、ちょっと待って! みんなが見てるから……」

「そのみんなが見ている前で、大胆なことをしてきたのは誰?」

「それは……」

 だって、とにかく今は必死だったから。
 サラは頬を朱に染め、ハルの胸に手を添えた。

「もし、ハルの胸に少しでも私の思いが響いたなら。私に会いに来て」

「この俺に会いに来いと?」

「そうよ」

 サラはとびっきりの笑顔をハルに向ける。

「そうだわ。きちんと名前を名乗らなければいけないわね。私の名前はサラ・ファリカ……」

「知っている」

 サラは驚きに目を見開いた。

「知っていたの? いつから?」

「あんたが乗っていた馬車の紋章」

「じゃあ、最初から、出会った時から私のことを知っていたのね。だったら、話が早いわ! 私のお屋敷に会いに来て。えっと、こっそりだけど」

「無茶を言うね」

「でも、ハルならそんなことわけないわよね」

 ハルは肩をすくめ、サラに背を向け歩き出す。
 裏街の男たちがいっせいに、緊張したように身がまえた。
/835ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ